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Regenerative Farming(再生型農業)

2026年4月12日 (日) 23:24

未分類

Tim WendelboeがFinca Tamanaをはじめ複数の農園で行っているRegenerative Farming(再生型農業)プロジェクトは、単なるオーガニック農業ではなく、土壌・生態系・生産者の生活まで含めた、長期的な農業改善プロジェクトです。

この取り組みは、将来のコーヒー生産を持続可能なものにするため、コーヒー業界全体にとって非常に重要なプロジェクトになると考えています。
Nordic Japanとしても、このプロジェクトに共感し、その一員として長期的に関わっていきたいという思いから、今回初めてダイレクトトレードを実施しました。

プロジェクトの始まり

 

「10年以内(2034年頃)にオーガニック農法へ移行しなければ、この農園から一粒のコーヒーも購入しない。」

これは、Tim Wendelboeが長年取り扱っているパートナー農園、Finca TamanaのElias Roaをはじめ、各国のパートナー農園に対して語った言葉です。

この言葉をきっかけに、Timが長期的に取り扱う単一農園の生産者たちが、本格的に再生型農業への移行に取り組み始めました。

このプロジェクトの目標は、約10年以内に、Timが購入するすべての農園を再生型農業へ移行することです。

その取り組みは、Timと各農園の生産者、さらにメキシコの植物研究機関とともに進められています。

プロジェクトの中心農園

 

 

現在、Tim Wendelboeが長期的に取り扱い、率先して取り組みが進められている農園:

Colombia

  • Finca Tamana(Elias Roa)
  • Finca El Refugio(Yurany Roa)

Honduras

  • Caballero Family(El Puente)

El Salvador

  • Los Pirineos(Diego Baraona)

 

 

なぜ10年なのか

 

Timが「10年」という長期的な期間を設定した理由は、土壌改善には時間が必要だからです。

  • 土壌改善には数年単位の時間が必要
  • 木の植え替えや環境改善には時間がかかる
  • 収穫量や品質への影響を慎重に確認する必要がある

急激なオーガニック農法への切り替えは、収穫量の低下や農園経営への影響を招く可能性があります。そのため、長期的かつ慎重に移行する必要があります。

Regenerative Farming(再生型農業)とは?

 

 

Tim Wendelboe のプロジェクトでは、再生型農業を以下の考え方として定義しています:

  • 土壌の健康改善
  • 化学肥料への依存を軽減 (コスト削減、土壌の長期的健康、気候変動対策)
  • 生物多様性の回復
  • 水資源の保護
  • 農園の生態系の改善
  • 生産者・労働者の生活改善

これらを組み合わせて、長期的に高品質なコーヒーを生産できる農園を作ることが目的です。

また、彼らは
「健康な土壌 → 健康な木 → 高品質なコーヒー」
という考え方をベースにしています。

現時点での取り組み

 

現在、まず3年間の実験プロジェクト(2024–2027)が進められています。

①同じ農園内で 従来農法・再生型農法を比較検証

Finca Tamanaでは、Bourbon、Colombia、Javaが栽培されている区画の一部を実験区画として設定し、メキシコの研究機関と共同で土壌分析を実施しています。

有機肥料の投入後、一定期間ごとに土壌サンプルを採取し、木の健康状態のレポートとともに分析を行っています。

実際にGarzónの肥料業者にも同行しましたが、有機肥料の価格は年々上昇しており、区画ごと・品種ごとに栄養素を変える必要があります。

 

②シェードツリーの導入

 

 

将来さらに暑くなる気候に備え、シェードツリーの植樹も進められています。

シェードツリーの導入により:

  • 直射日光の軽減
  • 温度変動の緩和
  • 土壌の保水性向上
  • 生物多様性の回復
  • 自然な害虫コントロール
    といった効果が期待されています。

「最も優れたコーヒーは自然の木陰のもとで育つ」

この考えは、単なる環境配慮ではなく、品質向上のための戦略でもあります。また、自家製コンポストの導入にも取り組み、土壌微生物の活性化を進めています。

↑写真は 2025年初年度の収穫を迎えたFinca Refugioより。

 

新たに拡張した区画に シェードツリーを導入。
4本のコーヒーの木に対し、1本のシェードツリー。

 

Finca El Sueroを実験の場に

 

Timは、自身の農園Finca El Suelo(Finca Tamana敷地内)を実験農園として取得しました。

理由は:

  • 農家にリスクを負わせずに試験するため
  • 新しい農業方法を検証するため
  • 品質と収穫量の両立を研究するため

Finca El Sueloのエントランスには、10種類以上の品種が栽培され、コンポストを活用した土壌改善の実験が行われています。

この農園は、再生型農業の研究拠点として、Finca Tamanaをはじめ各農園へ知見を共有する役割を担っています。

Finca Tamanaで感じた課題

 

再生型農業への移行は、理想だけでは進めることができません。
実際に農園を訪れて感じたのは、その取り組みの難しさでした。

1. 通称「チャムスキーナ」

コーヒーの葉やチェリーを食べてしまう害虫で、約1mmほどの黒い点のような非常に小さな虫です。肉眼では見逃してしまうほど小さいものですが、EliasやYuranyは歩きながら会話をしていてもすぐに見つけ、手作業で取り除いていました。

このような害虫管理は、化学農薬への依存を減らす再生型農業において、より重要な作業となります。

2. 天候不良

私たちが訪れた11月は、本来乾季のはずでしたが、実際には1日に何度もにわか雨が降り、常に湿度が高い状態でした。

このような気候の変化は、乾燥工程や収穫タイミングにも影響を与え、再生型農業への移行をさらに難しくしています。

3. 有機肥料のコスト

再生型農業では、有機肥料の使用が重要になりますが、そのコストは年々高騰しています。さらに、Finca Tamanaでは土壌分析を行い、区画ごとに適した肥料を使用しているため、初期投資も非常に大きくなります。

長期的な取り組みだからこそ、経済的な負担も大きな課題の一つです。

4. 労力

 

Finca Tamanaは約57ヘクタール以上の広大な農園です。

このすべての土壌改善を行うには、非常に多くの労力が必要です。実際に、作業員を30人以上投入しても追いつかないほどの作業量となります。

さらに、農園は急斜面が多く、機械の導入が難しいため、基本的に人の手で行う必要があります。再生型農業は、時間とコスト、そして多くの人の力を必要とする、非常に挑戦的な取り組みであることを実感しました。

Field Report at Finca Tamana

2026年4月12日 (日) 23:06

FInca Tamana

Nordic Japanは2025年11月、Terasaki coffeeの寺崎さんとともに
コロンビアを訪れ、1週間にわたりFinca Tamanaに滞在しました。
今回はその滞在を通して見えた、Finca Tamanaの現場、家族の営み、そして品質を支える背景についてレポートします。


Garzónから始まる農園への道

コロンビア Neiva空港から 車で1時間ほど離れた
Garzonという町で Finca Tamanaの農園主 Roa 家族と合流。

農園周辺には スーパーや商店が一切ないため、この町で1週間分の私たちの食料をはじめ、農園で働くピッカーやマネージャーたちの食料をまとめて買い込み。

そこから90分ほど 獣道を走らせ、Finca Tamanaへ向かいます。
道中には 小規模のコーヒー農園やプランテイン畑が点在し、 野犬の姿も多く見かけました。

エントランスに到着した時点で 標高すでに約1800m。

そこからさらに車で5分ほど斜面を降りていくと、Roa家族、ピッカー、ゲストルーム、カッピングルーム、キッチン、精製施設が集まる大きなVillaが現れます。

到着してまず感じたこと


 


農園に着いてまず驚いたのは、生き物の多さでした。
野鳥、鶏、孔雀、牛、犬、猫。
Washing stationの上には孔雀がいたりして、この農園が単なる生産現場ではなく、一つの大きな生態系の中にあることを実感しました。

 

Roa家族と働く人たちの暮らし

食事の主食はプランテインとお米。ベジタリアンという言葉が通用しないほど、肉料理が中心です。また 1日4回ほど Amarilloというアルコール度数24%のショットで景気付けすることも。

農園内には シェードツリーとしても、土の栄養素としても重要な
果樹が多く点在し、朝食には 農園で採れた果物を頂きました。

私たちが訪れたのは11月末。収穫のオフシーズンではあったものの、コモディティやミタカクロップ(2nd crop)の収穫のため、約20人ほどのピッカーが働いていました。

収穫の最盛期には50人以上のピッカーが滞在し、Eliasの妻BellanidとキッチンマネージャーのMartinaが、全員分の食事を用意します。

収穫作業は朝早く始まるため、キッチンでは早朝5時から準備が始まり、夜は21時頃まで片付けや翌日の準備が続きます。

農園はインターネットや電話回線も安定していない山奥にあり、Elias自身が電線を引いたものの、私たちの滞在中も通信はほぼ不安定でした。

夜は街灯がなく、満天の星空とVillaからの灯りだけで生活します。

シャワーは山の湧き水をそのまま引いた冷水で、滝のような勢いで流れてきます。

農園内にすべてがあること

アフリカや ペルーなどは 小規模農家がWashing Stationにチェリーを持ち寄り、そこで精製されるケースが一般的です。
一方 Finca Tamanaのような規模の農園では 収穫から精製、乾燥、品質確認まで 全て農園内で完結します。

Roa家族の暮らしのすぐ隣に精製設備があり、生活と品質管理が地続きになっていることが、この農園の特徴の一つです。

Finca Tamanaは、一般的なコロンビアの農園と比較しても非常に大きく、
設備投資も積極的に行われています。

毎年農園を訪れるTim Wendelboeは
「来るたびに進化している」
と語ります。

その言葉通り、Eliasの品質に対する妥協のない姿勢が、農園の随所から感じられました。

品質への投資

湿度の高いコロンビアでは メカニカルドライヤーで パーチメントを乾燥させるのが一般的ですが、
Eliasは機械乾燥による風味への影響を考え、自然乾燥へと切り替えました。
現在、Huila地域の気候に適したアフリカンベットを設計し、
農園内には既存の乾燥施設に加え、 新たに2つの建設が進められています。

今後の計画として、 パルピングマシーン施設の増設も予定されています。
収穫量の多い日でも、その日のうちにパルピングから発酵まで進められる体制を整えるためです。

農園には専属の施工チームが常駐し、常に改善が続けられています。

美味しさの秘密

私がオスロのNordic Approachで働いていた頃、同じ建物にTimの焙煎所がありました。階段の踊り場には「Take Free」と書かれたコーヒーが置かれており、それがFinca Tamanaのコーヒーでした。

焙煎日を見ると なんと “2年前” !

しかし味わってみると、まるで焙煎したてのような複雑で上質なフレーバーがあり、大きな衝撃を受けました。

その話をEliasにすると、
「その答えを今日知ることになるだろう」
と、精製工程のすべてを見せてくれました。

そこで感じたのは:

  • 環境に合った設備の導入
  • ピッカーとの価値共有
  • 改善を止めない姿勢
  • シェルフライフへの強い意識 でした。

オフシーズンでも見えたもの

私たちの訪問は11月末のオフシーズンでしたが、それでも設備投資が進められ、 20人以上のピッカーが働いていました。

また、Tim Wendelboeが進めるRegenerative Farming Projectのため、私たちを最高にホストしてくれた Yuranyは早朝5時から土壌の検査を行っていました。

こうした現場を見て感じたのは、Finca Tamanaの品質は、特別なロットだけで作られているのではなく、農園全体の構造、家族の営み、働く人たちの体制、そのすべてによって支えられているということでした。
そして今、この農園ではさらに大きなテーマとして、再生型農業への取り組みが進んでいます。次回は、そのRegenerative Farming Projectについてご紹介します。

FInca El Refugio

2026年4月6日 (月) 23:10

FInca Tamana

Finca El Refugio

Name: Yurany Roa, Brayan Roa
Family: Elias Roa(Finca Tamana) の娘
Region: La Plata, Huila, Colombia
Altitude: 1900m
Varieties: Colombia, Pink Bourbon, Java
Processing station : Finca Tamana

Finca El Refugioは、Finca Tamanaを運営するElias Roaの娘、Yurany Roa Sanchez が運営する農園です。父であるEliasと、長年のパートナーであるTim Wendelboeからアドバイスを受けながら、独自の品質向上への取り組みを進めています。2025年に初めての収穫を迎えた、新しい農園です。

この農園は、コロンビア・ウイラ県のLa Plata地域に位置し、標高約1,900mの高地にあります。Finca Tamanaよりも標高が高く、傾斜のある地形が特徴で、クリーンで複雑なフレーバーに適した環境です。

収穫されたチェリーは、Finca Tamanaの精製設備で精製され、品質管理のもとでロット分離されています。

Yurany Roa

Yuranyは、Finca Tamanaを運営するElias RoaとBellanidの娘として、幼い頃からコーヒー農園で育ちました。最初はAcevedoにある家族の農園でコーヒーに触れ、その後Finca Tamanaで経験を積んできました。

当初はコーヒー業界で働く予定はなく、地元のコーヒー輸出業者で数年間勤務した後、イギリスで国際ビジネスを学びました。帰国後、家族の農園に関わるようになり、現在は自身の農園運営に加え、Finca Tamanaのセールス・マーケティングも担当しています。

また、リジェネラティブ農法の研究や、ピッカーのケアから顧客対応、そしてTim Wendelboeの農園の品質管理マネージャーまで幅広い役割を担う、次世代の生産者です。

現在、Tim Wendelboeを中心に、

  • Finca Tamana(Colombia)
  • Caballero Family(Honduras / El Puente)
  • Los Pirineos(El Salvador)

と共に、新しい栽培方法や持続可能な農業への取り組みにも積極的に関わっています。

次世代生産者としての挑戦

父であるEliasから、Yuranyと姉、弟はそれぞれ農園となる土地を譲り受けました。現在は弟のBrayanが留学中のため、Yuranyが2人分の農園管理のすべてを担っています。

彼女は単に家族の農園を引き継ぐのではなく、自らの農園で品質向上に取り組んでいます。

主な取り組み:

  • 高標高環境での栽培(Finca Tamanaより標高が高く、傾斜がある)
  • 品種の選定とロット分離
  • 発酵プロセスの改善(発酵時間の研究・調整)
  • 持続可能な農業への移行
  • シェードツリーの導入
  • 果樹の植樹による生態系の多様化

 

バイヤーメモ(Nordic Japan):

Nordic Japanとして、彼女の収穫初年度のコーヒーを買い付けできたことは非常に大きな一歩であり、日本に紹介できることを非常に光栄に思っています。

初年度のロットを、20年以上の経験を持つFinca Tamanaのコーヒーとブラインドでカッピングしましたが、全く引けを取らない、非常に高い品質でした。

実際に農園を訪れ、栽培環境や精製方法を確認すると、この品質にも納得できます。また、Finca Tamanaとは異なる個性を持ったフレーバープロファイルも非常に魅力的です。

今後も毎年可能な限り買い付けを行い、長期的に関係性を構築していきたい大切なパートナーです。